2012年10月13日(土)滝野すずらん丘陵公園にて「森の教室in 滝野」と題し、秋の森をガイドつきで散策するイベントを開催いたしました。 色づく秋が深まる中、ヤチダモやミズナラなどの広葉樹が美しく装う森を歩き、森について学びながら ゆったりとした時間を過ごしました。
ご家族連れを中心に総勢80名の参加者が向かったのは、札幌の南部にある「滝野すずらん丘陵公園」。北海道内で唯一の国営公園で、きめ細かな管理のもと豊かな自然が広がっています。この公園に2010年にオープンした「滝野の森ゾーン西エリア(自然博物園)」が今回訪ねた場所。そこには手つかずの森が残っていました。
5、6人の小グループに分かれ、それぞれ森林ボランティアガイドの方に案内されて、まず向かったのが「森の情報館」という施設。滝野の歴史のほか、北国ならではの豊かな自然の生態、人々の暮らしと自然との関わりなどについての展示があり、身近でありながら意外と知らない環境について、多くの方がすでに興味津々の様子でした。
この施設から続く園路の先には高さ5mのデッキがあり、そこから森を一望できます。色づき始めた木々を眺め、ヤチダモやハルニレの林のなかを歩いていくと、誰ともなく深く息を吸い込んでいます。そよ風が運ぶ木々や草の香りを感じ、空気がとても澄んでいることに気づきました。
森の小径でガイドの方が足を止め、ある場所を指さしました。よく見ると、きのこです。案内がなければ気づかずに通り過ぎてしまうような足元にも、たくさんの命が精一杯に生きていることを再発見し、ていねいなガイドさんの説明に、子どもたちも真剣に耳を傾けていました。
森と聞くと、太く大きな木を思い浮かべることが多いですが、実際にはさまざまな動植物が息づくことで森は成り立ち、豊かな環境が形づくられて、木々も生き生きと成長できるのです。見方を変えると、そのいずれかが荒れてしまうと森そのものがだめになってしまう、という大切なことを学びました。
自然の中で見つけた植物
森林ボランティアガイドに植物などのことを教えていただきました
木々にもたくさんの種類があり、広葉樹なら秋には葉を落として、季節ごとに姿を変えていきます。一つひとつの木々の説明を聞きながらどんどん森の奥へと入っていくと、枝の上をエゾリスが駆け抜けました。森は、こうした動物たち の生活の場でもあります。私たちにとっては珍しいものの多い楽しい場所ですが、彼らにとっては大きな住まいのようなもの。「ちょっと、おじゃまします」。自然にそんな気持ちも湧いてきます。
子供たちにとっては枯れ葉も自然の遊び道具
カエルいないかな!
ドングリをはじめて手にして興味津々
さて、ガイドさんがまた、指をさしました。その先にいたのは蛙。ちょっとつかまえて、ユーモラスな姿を観察していると……今度はトカゲ! 名前はカナヘビといって、長い尻尾が特徴です。日本全国に棲息していますが、一部の地方では絶滅が危惧されているといいます。
最初はちょっと、驚いていた子どもたちも、やがて森の動物たちを探し始めていました。そして、いろいろな形の葉っぱを拾ったり、ガイドさんの案内で木肌に触れ、その手触りや温度を感じたりと、知らず知らずの間に森と親しんでいる様子が印象的でした。
自然を守ろう、森林を保護しようと意識し、活動することも大切ですが、大人が、そして何より子どもたちが理屈抜きに森で遊び、そこから命の大切さを感じ取っていくこと。ガイドさんの熱心な案内のおかげもあって、誰もがそんなふうに森と触れ合えたことが、今回のイベントの一番の成果ではないかと感じられました。
自然の中でのバーベキューは最高です
おいしい笑顔!
ゆっくりと森のなかを歩き、観察して、爽やかな気分になったせいか、心地よくお腹も空いてきました。散策の後は、楽しみにしていた昼食の時間。炊事施設のあるエリアへと移動して、バーベキューや焼そばを楽しみました。新鮮な空気の中で身体を動かした後の食事は、また格別おいしく感じられたようです。
帰りの時間が来るまで、広い公園で子どもたちは思い思いに遊び、よく晴れた秋の一日を満喫していました。
森で知ったこと、感じたことは、きっとこの環境を伝えていく力になってくれることでしょう。「森をたてようネットワーク」では今後も、こうした取り組みを継続していきたいと考えています。
参加者全員で記念撮影